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ゴウが勝利と事態の終結をミャオに連絡した時、ミャオは冷や汗をかいていた。
理由は簡単である。目の前に立っているのが国のお偉い様二人だからだった。
国王様は相変わらず鷹揚に笑っているが、それに合わせている将軍がミャオは怖い。
必要最低限の無礼には当たらない礼儀の中で、将軍は結構ずばずばと国王にものを云っている。
こういう人種はやっぱり苦手だ、とミャオは内心嘆息する。
それでも仕方がないので愛想笑いの見えない将軍に耳打ちした。
『沖での海戦もわが軍の勝利で終結を見、敵も黙って撤退中の模様です』
『損害は?』
『ごく僅かにて』
『…具体的な数字を、とゴウに伝えろ』
『了解』
ですよねー、とミャオは首を中途半端に傾げた。
将軍は正確な情報を欲しがる。
それでなければきちんとした判断を下せないからだ。
自分は苦手にする人だが、彼のような人がいなければ多分この国は立ち行かないのだ。
そんな風に思って、ミャオはゴウに連絡します、と云って部屋を下がった。
助けてやった魔導師が所在なげに立っているのを指でちょいちょいと招く。
幾らなんでもあそこに三人残すんだとかわいそうすぎる。



「ああ…判った。ヴィンスは?」
ゴウは気がかりだった華奢な魔導師の状態を聞いた。
あー、なんか体力使い果たしたみたいで今救護室、と疲れたミャオの声が云った。
だそうだ、と隣のバヌールに云うと、そうか、と無表情に空気を緩めた。
それはきっとこの女は部下を大事にするのだな、と感じさせて好ましかった。
ゴウの視線に気づいたのか、バヌールは笑ってみせた。
「働きに対しての報酬は頂くつもりだから安心しろ」
うちの部下に損害があったら値が吊りあがるところだったんだ、と続ける。
いい武人でありリーダーだな、と思って、ゴウも笑みを返した。
「それはよかった」
背後からエレナが何やにさがってんのよ、と肩を叩いていく。
お前それはちょっと力がこもり過ぎだろう、とゴウは抗議しながら彼女のあとを追った。
「共に闘ってくれたこと、感謝する!」
歩きながら振り返ってバヌールにそう叫ぶと、バヌールはこう叫び返した。
「云ってる暇があんなら早く彼女捕まえろ!」
バヌールが笑っているのを眼の端にとらえながら、ゴウも笑ってエレナを追った。


バヌールはやいのやいのと痴話喧嘩じみた言い争いを始めた二人を見やって笑っていた。
自分の判断が間違っていなかったとは言い切れないが、この終結は好ましい。
結果で見るならば正解だったな、と落ち着けて部下たちに最後の指示を飛ばす。
「速やかにシナリーへ向かえるように協力を惜しむな!」
勿論、と近くにいた部下がシナリーの者と支え合って立ちあがった。
脚を負傷したらしい兵士が感謝を述べているのを、部下が首を振ってジョークを飛ばしている。
兵士が思わず噴き出して、部下とともに顔を見合せて笑った。
バヌールは脚元に刺さっていた剣を引き抜いて、思いを深める。
間違っては、いなかった。


戦場で、兵士たちが笑みを見せあい、傷の手当を終えたころ。

ミャオが恐縮する魔導師が犬に似ている、と云って鳴き声を真似したころ。

ゴウが肩を竦めてエレナと和解したころ。


敗北と大きな被害に沈痛な空気に包まれたアビルト軍の船内で。

奇跡的にも勝利を得たシナリー軍の船上で。

よく似通った言葉が聞かれた。


「さあ、帰ろう」

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