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「失敗したのか」
 古風な城を思わせる広い空間、豪華なシャンデリア。
 薄いレースのカーテンの向こうから、低めではあるが、透き通った女性の声が聞こえてきた。
 足元には赤を基調としたバラの花が豪華に描かれた絨毯。
 そして、その女性の座るのは、ゆったりとした大きなソファ。
 これらは全て、貿易によって異国のものを手に入れたと思われる。推察するに、この城の持ち主は相当な資産家だ。
「大丈夫です、第二の手は打ってありますれば」
「何を言う、何のために、召喚獣を貴様に託したと思っているのか」
「ははっ、申し訳ありません、ですがクレーネ様、あの胡椒には細工がしてありまして」
 クレーネと呼ばれた女性は、一つに結わえてある長い髪を手で払い、ソファから立ち上がった。
 彼女の身長は高く、体にフィットするタイプの胴衣をまとっている。胴衣は足元まで長かったが、動きやすさを優先するため、横にはスリットが入っていてセクシーな太腿が薄暗い部屋に浮かび上がっている。
「聞いておこう、細工とは?」
 彼女は、そばにあった剣二振りを、背中に帯びた。その剣も、豪華な装飾が施されている。
「はは、実は、わざと細工をした胡椒を奴らにつかませました。特殊な魔法がかけられておりまして、その臭いを嗅ぐと、一週間で命を落とします。これによって、我々以外に胡椒を密輸しようとした連中をまとめて始末することが可能です」
「カミル、そんなことをしたら、密輸した人間以外も死ぬじゃないのさ。私は、やたらと人を殺せと言った覚えはない、シナリーで儲けようとしているジャマなギルドをつぶせ、と言ったんだ」
 クレーネは眉をひそめて、剣を鞘ごと背中から抜いて、目の前にひれ伏しているカミルに向けた。
「もし、これが大事件になって、私たちのことが大っぴらになってみな。今までのようにやれなくなる。帝国(ダーイエ)に目をつけられたら終わりだ。あんた一人で責任とれるのかい?」
 カミルはただ、その場にひれ伏すのみであった。
「どうやら、仕事を増やしてくれたようだね。私はこれからでかけてくる。あんたは、これ以上事が大きくならないように、イシューの町に行ってなんとかしてきな!わかったね!」


「セイローの森へ行くにはどうしたらいいか、わかったのかな?」
 フィリダが、本屋で立ち読みをしている商人の横に、ひょっこり現れた。全然気配を感じられない素早い動き。
 そして彼女は、ドキっとした商人がサッと本を閉じるより早く、後ろに回りこんだ。
「『今度の彼女はピッチピチ!ここでしかみられない超極秘写真を入手!』」
 フィリダが大声で本の中身を読み上げた。本屋にいた人々の視線が集まる。
 商人は何気ない顔して本をもとあった場所に戻すとさりげなくその場を後にした。
「おいおっさん!情報収集するんだっつってなかったっけ?」
 フィリダと共に道化師も冷たい視線を浴びせかける。
「あーーー。これも情報収集の一環、なんつって・・・」

 ムシャバが言った。
「私の調べた情報によりますと、ここ、イシューからは三日ほどかかるそうですが、道中、危険な魔物もたくさん出没するそうでして、特に危険な魔物は、ハイイロドクガといいまして、これがまた、セイローの森にはたくさんいるらしいです。この毒蛾にやられると、体がしびれて動けなくなるらしく、その間に命を落とすケースも非常に多いんだそうであります。そこで、その麻痺に効くというポーションを薬局で見つけてきたのですが、いくつぐらい購入したらいいのかわかりませんので・・・」
 放っておくといつまでもしゃべりそうなので、フィリダが突っ込んだ。
「わーったわーったから。それ、みんな買っておけばいいのね?」
「そうです。それから、旅の支度を整えてから出かけないと危険であります。なんせ、人通りのないところですから、途中物資が底をつくと身動きがとれなくなります」
「うーん、仕方ないわね。一番お金持ってそうなのは。そこのラクダ!」
 フィリダは商人の連れているラクダを指差した。
「彼女は、シルフィーナちゃんだ」
 商人がラクダの手綱を手繰り寄せた。
「そして私は、ハンラス14世。自己紹介が遅れてしまったが、見てのとおり商人だ。隣国コウトンから物資を運んでいた途中で君たちに遭遇してしまった。超ついてない」
「それ言ったら私だってついてないんだから」
 事の始まりは、盗賊ギルドの族(やから)に絡んだところから始まったのだった。
「いいから、そこのラクダ、何を積んでるの?」
 彼女は、ラクダに積んである布袋をつんつんした。
「時間がないのよ?一週間しか。旅費を稼いでる間にタイムリミットよ」
「その通りであります。まずは、セイローの森に無事たどり着けるか、そして、森の薬草を早く見つけることができるかが重要です。できなかったときは皆さんそろって死んでいただくしかないと・・・なむ」
 ムシャバがお経を唱え始める。冗談じゃないぜ。道化師がため息混じりに言う。
「仕方ないですな。この荷物を売って、旅費の足しにするか・・・」
 やれやれ。そういいつつ、ハンラス14世はラクダのシルフィーナを引いて歩き出した。他のメンバーもそれについていく。
「ちゃんと返して欲しいものだな、ツケておくから」
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