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第七話

 そこは、とある街の交差点の真ん中だった。
 たくさんの行き交う人々、上空を飛ぶ鳥たち。
 しかし、全てが停止している。何もかもが微動だにしない。そこに吹き抜けていくであろう、風でさえも感じさせない。

 まるで、死んだような街だ、このような場所では、私は存在できないのだろうな。
 なぜなら、私が存在する理由は、誰かが私を感じてくれるから。私のことを理解してくれるから。常人には私の存在は知られていないのだから。

「このようなところを私に見せて、何とする?」
 その問いに、正面に立っていた「鳩のような人」がしばらく間をおいてから言った。
「お前のように、私も、また、誰かに感じられなければ存在することができぬ」
 赤い瞳が、時の止まった上空を見上げる。飛ぶ鳥さえも止まってしまった上空を。
 それに呼応するかのごとく、無数の鳩が現れては飛んでいく。風の止まってしまった空でも、不思議な力につつまれて、鳩は舞う。
 幾重にも重なって、鳩が飛んでいく。

「お前も同じであろう」

 その声は、たくさんの鳩から聞こえてくるかのように感じられた。
 鳩たちは私の周りを囲んで飛んでいる。
 同じ?同じであるとは。鳩と私が?
 
「一切の時が止まってしまったこの世界で、存在する為には、この時の封印を破らねばならぬ」

 時の封印。
 ああ、あの不快な鐘の音のことか。
 あれが、時を封印する合図、そして私を「ねこさん」と呼んでいたあの少女が感じた不安。
 それはこの鳩が言う、時の封印であったのか。
 私が在る理由、それには封印をやぶらねばならない。
 私は、音を止めるためにするべきこと、それを悟った。
 しかし、どうやって?どうやってこの全ての時を止めてしまえるほどの魔力を撃ち破ればいいのだ。
 ここで悩んでいても結論は出ない。となれば、この者の知恵を借りるしかないのか。
 鳩め・・・。
 私は、鳩の赤い目を睨みつけた。その際、背中の毛が立っていたかもしれないし、爪も出ていたかもしれない。
 
「コギト。お前も、それが為に今ここにいるのであろう?」
 
 鳩め。こいつは、一体何を知っているというのだ。
 そして、この高圧的な存在。思わず逆毛を立てずにはいられない。

「お前に、あの「時の鐘」をとめるだけの力があるか?なれば、私は、お前をあの鐘の元に送り届けよう」
 
 「時の鐘」だと?それが、時を封印しているというのか。今現在を動かぬものにしているのか。
 私の目的は、それを止めること。
 答えは一つしかない。
 無数の鳩が私と、鳩のような人を囲んで飛んでいる。ぶつかってもすりぬけ、魔力を持った鳩であるかのように不自然に飛んでいく。
 この全てが凍りついた街の中で、不自然な鳩だけが幾多にも重なり合いながら、同じ場所をグルグルと飛行していく。
 鳩のような人は右手を振り上げると、それに呼応して鳩が上空に舞い上がった。
 
「時は満ちた」

 舞い上がった鳩たちが、今度は私めがけて飛んでくる。
 同時に、私の体は空中に投げ出され、今までいたところとは似ても似つかぬ荒野に変わった。
 その空間に満ち溢れる魔力故か、私は両足の爪でしっかりと大地を掴んだ。
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